合言葉は「もう限界。」゚.+:。(´∀`)゚.+:。
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出会った当初の頑な言動と、一人を選ぶことを常とし、連れを伴わない自身の道に、疑問を抱くことさえ忘れた彼が、四人で乗り越えていく旅路の中で変わっていった。
時折、彼が人間であった頃の姿を伺わせるような、やわらかい微笑を見せるようになって、アメリアはどれだけうれしかったか分からない。
しかしゼルガディスが示す穏やかな友愛の情に満足する一方で、アメリアは別の感情に胸を傷ませていた。
魔族と戦うたびに預けた背中に込められた深い信頼が、いつしか姿を変えて彼女の身の内を焦がすようになっていったからだ。
相手は、苦難を極める旅路に「人間の姿に戻る」という悲願をかけて挑む旅人である。
隣に並ぶ彼の横顔を見上げては、
おそらく叶うことのない望みであろうと自分に言い聞かせていたのだ。
ゼルガディスはくちばやにリカバリィを唱えると、自分の額に手をかざした。
出血もだいぶ収まってきたとはいえ、最低限の血止めはせねばなるまい。
戦闘中に目に血が入れば、悲惨な事態を招くのは必須である。
それにしても、魔竜王から身を挺して彼女を庇った自分は、すっぽり記億から抜け落ちているとでもいうのだろうか。
「…ガウリイの旦那じゃあるまいに…。」
それはあまりに理不尽なのではと先は続けず、やけくそ気味に回復に力を注ぐ。
見る間に塞がっていく傷口が、実に涙ぐましい。
ゼルガディスは、過去、唯一の肉親であるレゾの企みに加担し、後ろ暗い道を歩みながら長い年月を過ごした。
色も欲もそれなりの歳に知り、女の扱いも心得ていた。
合成獣の異形とはいえ、なかなかに端整な顔立ちの青年で、魔道と剣の腕も魔道師仲間の間に知れ渡っているほどの使い手である。
少し目配せすれば、一夜の寝床に事欠く事も無い男だ。
しかし、ゼルガディスはアメリアに対して事を急ごうとはしなかった。
乾きを覚えなかったとは言わない。
だが自分の中で判然としないものを無理に進めるには、ゼルガディスの頭の堅い部分のほうに軍配が上がったというだけだ。
最初の頃は、この少女の童顔や、華奢な体つきを前にして踏みとどまっているのか、札付きの自分と一国の王女である彼女の身分が二の足を踏ませるのか。
上げ連ねれば理由はいくらでもあったため、ゼルガディスの中でもなかなかこの想いの決着はつかなかったのだ。
ドラゴン料理の達人に死んだ孫娘に瓜二つと言われ、涙を零す彼女を横目で見つつ、「生きてるって素晴らしい!」とガッツポーズを決めながら、大きく笑う彼女の傍らでため息をつきながら、ゼルガディスはそれでも、この少女に見合う何物かの姿を追い、その正体をを探し続けた。
自分にも、ましてや彼女の目にも決して写るはずもないそれを、ただ口にしてやりたかっただけなのかもしれない。
秘めてなおひた隠さねばならないような情ならなおのこと。
ゼルガディスは、今だ自身の奥深くに在ろうとするそれが、ただ哀れだった。
時折、彼が人間であった頃の姿を伺わせるような、やわらかい微笑を見せるようになって、アメリアはどれだけうれしかったか分からない。
しかしゼルガディスが示す穏やかな友愛の情に満足する一方で、アメリアは別の感情に胸を傷ませていた。
魔族と戦うたびに預けた背中に込められた深い信頼が、いつしか姿を変えて彼女の身の内を焦がすようになっていったからだ。
相手は、苦難を極める旅路に「人間の姿に戻る」という悲願をかけて挑む旅人である。
隣に並ぶ彼の横顔を見上げては、
おそらく叶うことのない望みであろうと自分に言い聞かせていたのだ。
ゼルガディスはくちばやにリカバリィを唱えると、自分の額に手をかざした。
出血もだいぶ収まってきたとはいえ、最低限の血止めはせねばなるまい。
戦闘中に目に血が入れば、悲惨な事態を招くのは必須である。
それにしても、魔竜王から身を挺して彼女を庇った自分は、すっぽり記億から抜け落ちているとでもいうのだろうか。
「…ガウリイの旦那じゃあるまいに…。」
それはあまりに理不尽なのではと先は続けず、やけくそ気味に回復に力を注ぐ。
見る間に塞がっていく傷口が、実に涙ぐましい。
ゼルガディスは、過去、唯一の肉親であるレゾの企みに加担し、後ろ暗い道を歩みながら長い年月を過ごした。
色も欲もそれなりの歳に知り、女の扱いも心得ていた。
合成獣の異形とはいえ、なかなかに端整な顔立ちの青年で、魔道と剣の腕も魔道師仲間の間に知れ渡っているほどの使い手である。
少し目配せすれば、一夜の寝床に事欠く事も無い男だ。
しかし、ゼルガディスはアメリアに対して事を急ごうとはしなかった。
乾きを覚えなかったとは言わない。
だが自分の中で判然としないものを無理に進めるには、ゼルガディスの頭の堅い部分のほうに軍配が上がったというだけだ。
最初の頃は、この少女の童顔や、華奢な体つきを前にして踏みとどまっているのか、札付きの自分と一国の王女である彼女の身分が二の足を踏ませるのか。
上げ連ねれば理由はいくらでもあったため、ゼルガディスの中でもなかなかこの想いの決着はつかなかったのだ。
ドラゴン料理の達人に死んだ孫娘に瓜二つと言われ、涙を零す彼女を横目で見つつ、「生きてるって素晴らしい!」とガッツポーズを決めながら、大きく笑う彼女の傍らでため息をつきながら、ゼルガディスはそれでも、この少女に見合う何物かの姿を追い、その正体をを探し続けた。
自分にも、ましてや彼女の目にも決して写るはずもないそれを、ただ口にしてやりたかっただけなのかもしれない。
秘めてなおひた隠さねばならないような情ならなおのこと。
ゼルガディスは、今だ自身の奥深くに在ろうとするそれが、ただ哀れだった。
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